人間関係の中でも、一番厄介で難しいのが「家族関係」です。
特に日本人の場合は、家族や血縁の関係をとても重視していて、社会の仕組みや制度も「家族」「家庭」を中心にした形で成り立っているので、その家族間で確執やトラブルが起きると、本当に大変です。
例えば、同じ人間関係でも「学校や職場の人間関係」は、関わり合っている者同士がそもそも「赤の他人」なので、相手のことも「他人なんだ」と割り切ってしまえば、それほど難しくはなりません。いざとなれば関係を断ち切ることができるからです。
仕事や学校を変える等、関係を切る方法はいくらでもあります。
ただ、関係を完全に断ち切るまでの間は、自分自身の心の中の整理も必要なので、いろいろな大変さがあると思います。ですが、この関係はずっと続くものではないので、期間限定だと割り切ることで、冷静に物事を俯瞰して見つめられると思います。
ちなみに、「自分を解放するための行動」は、気づきと学びの宝庫です。たくさんのエネルギーを使うので苦労も多いですが、大変さを乗り越えることでタフさも身につき、成長することができます。
それに、場所を変えて縁を切れば、その瞬間から相手は赤の他人です。もう相手のことで気に病む必要も無いし、苦しむ必要もありません。縁が切れた相手のことなどサッパリと忘れて、自分の人生に集中すればいいのです。変な執着やこだわりがなければ、「立ち去る」「手放す」と言う形で簡単に切ることができるのです。
また、そのほかに家族関係で、たとえば「結婚によって家族になった関係」(パートナーやパートナーの親・家族)というものもあります。これも俯瞰して見れば、自分とは血が繋がっていないのだから、所詮は「他人の集まり」なんですよね。離婚して婚姻関係を解消すれば、自然と切れてしまう淡い関係です。
だから、本来はあまり難しく考えたり、強くこだわって意固地になる必要は無いのですよ・・・。
最初から「他人」と割り切っておくことで、相手にあれこれ感情移入する必要も無くなるし、客観的に相手を見つめることが出来ます。他人だと思えば、心の中で距離を置けるし、その分、冷静に対処できて、深く傷ついたり悩み苦しむことも減っていくと思います。
家族になろうと無理して頑張ったり、家族のような親密な関係にならなくてはいけない・・・と我慢を自分に強いるから、お互いに辛くなるのです。そうではなくて、最初から「他人同士」と割り切り、それなりに節度ある接し方を心がけいくことです。我慢しないで、常に自然体でいることで、人間関係も無理のない自然な形へと大きく変化するはずです。
また、パートナーとの関係に悩んでいる場合も然り。
何か気になることがあるのならば、我慢して無理するのではなく、自分に正直になり、パートナーと本音で話し合うことです。腹を割って正直に話し合い、民主的な方法で問題を解決させていくことを試みてください。この時も、相手は「他人である」ということを念頭に置いて、丁寧に話を進めることです。互いに成長過程のなかにいる者同士です。一緒に暮らしながら共に成長していく同士なのです。
しかし、互いに真摯に向き合うことができず、理解し合えないのであれば、淡々と「自分たちはウマが合わなかったのだ」と解釈して、別々の人生を生きればいいだけのこと。
この時も、「パートナーと一生添い遂げなくてはいけない」「義理の家族を尊重しなくてはいけない」という変な義務感は手放すことです。親や社会から刷り込まれた『固定観念』に縛られてはいけません。
「義務」や「責任」、はたまた「世間体」や「社会の常識」をもとに『理想の家族』を幻想して、家庭や家族に執拗に粘着し執着していると、どんどん物事の核心から外れていき、問題解決からも遠のいて離れていきます。
所詮、結婚は「書類による契約」みたいなものだから、いつでも別れられてリセットすることができるんだ・・・と割り切ることが大切なのです。現実にそうなんだから(汗)、現実を素直に受け入れることです。こうして割り切ることで、客観的にお互いのことが見つめられ、冷静にこれからのことが判断できると思います。
つまり、職場や学校の人間関係、婚姻によって生まれた新しい家族との関係は、実はいつでも切り離して手放すことが出来る「自由な関係」だということ。昔の価値観だと「石にかじりついてでも縁を切らずに辛抱して耐え、最後まで繋がり続けるよう頑張ること」を「良し」としていましたが、今はもうそういう時代ではありません。
意地を張らず、相手に粘着しないことです。また執着しないこと。いつでも自分を解放して自由になれることを自覚し、あとは勇気を出してちゃんと相手と向き合うことです。
ところが、人間関係の中でも「血を分けた家族の関係」(例えば、親子や兄弟姉妹など)になると、なかなか簡単には断ち切れなくて本当に難しいです。「血縁」という関係は、見えない鎖で片足が繋がれているような感じのもので、他の人間関係のようにサクッと縁を切ることが難しいです。切っても切っても追いかけてくるのが「血縁」の関係です。
その結束力の強さから、昔から「家族」や「肉親」はセーフティーネットの役割を果たしていましたが、今では、血縁関係の絆が煮詰まりすぎて、そこから新たな問題や根深い問題がたくさん生み出されているように思います。家族といっても、真の愛情ではなくて「依存」や「エゴ」で繋がっている場合も多く、しかも今は少子高齢化の時代です。血縁という関係に固執するやり方は、もう時代的に機能しなくなってきています。
ちなみに、肉親との間に人間関係の深刻な問題が生じた場合、自分の中にある黒い部分もえぐり出すような感覚で、腹の底まで吐き出して、相手と真剣に向き合うことが必要です。
万が一、肉親との縁を断ち切るにしても(絶縁など)、また関係を改善させてより良く成長するにしても、そこに至るまでの間に、精神的に辛い経験をいっぱいしなくてはいけないことが多いです。辛いことがある度に、血を吐くような苦しみをいっぱい味わい、我慢して気持ちをグッと腹の中に閉じ込め、陰で泣いて怒って傷つき、それでも希望が捨てられず何度も何度も葛藤を繰り返して、時には互いに傷付け合い苦しめ合いながら、最後はドン底まで落ちて、またそこから這い上がろうとする・・・。そんな泥臭い道を必ず通らなくてはいけません。
もしも血縁で無ければ、バッサリと縁を切って、サッと逃げ出せるのですが、血の繋がった家族だと、捨てるに捨てられず、また逃げるに逃げられず、心の鎖で相手と繋がったまま、傷つけ合いながら向き合っていかなくてはいけないのです・・・。なかなか壮絶で大変なことです。
しかし、見方を変えれば、家族関係で問題やトラブルを抱えている人は、かなり高度で難易度の高い課題に取り組んでいる・・・と言えると思います。
だから、今現在、家族関係で悩んでいる人は、「私は、この娑婆で最も難しい課題に取り組んでいるのだ」と自分を励ましてほしいと思います。
そして、
- 自分は相手とどういう関係になりたいのか?(本音)
- 相手との関係をどうしたいのか?(義務と責任は横に置いといて)
- 相手のどこが嫌いなのか?相手のことは好きか?嫌いか?(正直に)
- 自分はこれからどうしたいのか?
・・・について深く見つめてほしいのです。
その上で、
- 親や兄弟姉妹のことを、自分は客観的にどう感じているのか?
- 自分は家族との関係をどうしたいのか?
- 家族と切り離して自分の人生を見つめ直したとき、自分はどういう生き方がしたいのか?
- 自分はこの人生で何を求めているのか?
・・・を、シンプルにクリアに自分の腹で感じてみてください。親から刷り込まれた価値観や社会の常識はいったん横に置いておいて、常識に縛られず、また自分を非難・否定せず、素直に自分の気持ちを受け止めてみてくださいね。
今までは、自分の人生が「家族関係」のことで満杯になっていて、常に「相手のことを考え、相手のためになることをする」で生きてきたと思います。でも、これからは、自分の人生は「自分の心」を満たしながら生きることです。
心の中で「家族」と「自分」を切り離しながら、「自分は本当はどうしたいのか?どう生きたいのか?」・・・を単刀直入に自分に問うて、自分の気持ちを整理し、自分の本心を知り、自分の本心に添って行動していくことを心がけてほしいな・・・と思います。
そして、自分の本心が訴えること・感じていること・思うこと・気づいていることに気づいて、それらを素直にありのまま心の中で受け取り、自分が今感じている気持ち、そのままで行動してみてください。
家族との間に人間関係の悩みを抱えている・・・ということは、
- そこから学びなさい
- そこから自分を知りなさい
- それをもとに自分の本心に気づきなさい
- そこから行動しなさい
- 自分を剥き出しにしなさい
- ネガティブな自分もありのまま受け止めなさい
- 自分の尊厳のために闘いなさい
- チャレンジしなさい
- 割り切りなさい
- 容赦なく切り捨てる覚悟を持つなさい
- 感情移入することを止めなさい
- 客観的に俯瞰して人を観察し、人と自分を切り離してみなさい
- 本当の愛とは何かを掴みなさい
- そこから自立しなさい
- 肉親以外のところで、心から信頼できる「新しい家族」を持ちなさい
- 良いことも悪いこともたくさん体験しなさい
- 自分を許しなさい
- 自分の優しさ・自分の愛に気づきなさい
- 自分を愛しなさい
- 強くなりなさい
- 真の愛を与える人になりなさい
・・・ということです。確執がある家族と向き合うことは、ヒリヒリと心に痛みを伴うことですが、それでも経験して前へ進んで生きなさい。ということなのです。
だから、魂の成長のための課題としては、なかなか高度で難関な課題なのですよ。でも、今の自分なら必ず乗り越えられる・・・と覚悟を決めて、今の人生を自ら選んで設定して、この世界に生まれてきたのです。ですので、自分を信じて、地道に取り組んでいましょう。